さっそくですが次の文章を見てみてください。
① 8/3Lの水を4/9L入るコップに分けたとき、コップ何杯分になりますか。
② 4/9Lのコップを使って8/3Lの水を分けました。水はコップ何杯分になりますか。
ご覧の通り、言い回しが異なるだけで2つの文章は同じ内容を表しています。しかし、②の方が正答率は悪くなってきます。なぜでしょうか。
原因は式の立て方です。②で間違う場合下記のような式の立て方をします。
4/9÷8/3=・・・
②の間違いでは、出てきた数字の順番に式に入れて計算した結果、割る数と割られる数を間違えてしまっています。かけ算は式の立て方の順序が間違っていても答えは同じになりますが、割り算はどちらをどちらで割るかによって答えが異なってきます。計算ドリルでは間違えずに計算できても、文章問題でこのような間違いはよく起こります。
では、このような間違いを無くすためにどのようにしていけばよいのでしょうか。下記の問題を考えてみてください。
②’ 1Lのコップを使って4Lの水を分けました。水はコップ何杯分になりますか。
こうすると、間違いはほぼなくなります。つまり間違いを無くす一つの方法は、簡単な数字で考えることです。このようなステップを挟むことで、水の量をコップの容量で割るということに気が付き、正しい式を立てることができます。
8/3÷4/9=6 答え.6杯
簡単な数字で考える、簡単な例で考える、ということは数学で重要な考え方になります。そして、数字が変わっても式の形は変わらない、ということに気が付くと、式の持つ意味を理解し、中学での方程式の理解にもつながってきます。
数字の法則性を見つけるような問題でも、最初の1つ、2つを試してみてそこから法則性の仮説を立てていきます。簡単なものから考える、簡単なものに直して考えてみる、そういう癖をつけていっていただければと思います。
さて、次の問題を考えてみましょう。
③ 8/3㎡の壁を塗るのに4/9dLのペンキが必要です。1㎡の壁を塗るのに必要なペンキの量はいくらでしょう。
こちらも、同じようにかんたんな数字で考えてみると
③’10㎡の壁を塗るのに5dLのペンキが必要。1㎡の壁を塗るには・・・
5÷10=0.5
同じようにペンキの量を壁の面積で割ると
4/9÷8/3=1/6 答え.1/6dL
この問題が②より難しい点として、答えが分数になっていて、元の数よりも小さくなっているところです。
かけ算、割り算を習うときは整数のかけ算、割り算からになりますが、かけ算は数が大きくなり、割り算は数が小さくなる、という間違った刷り込みが多くの場合起こります。こういった刷り込みがずっと残っていると間違う要因になりえます。分数のかけ算、割り算を習う際には、どこかでこの刷り込みを壊しておく必要があります。
例えば引き算についても、中学で正負の数を学習すると数が増える場合が出てきます。このような際も、引き算は減るものという思い込みを壊していくことが大事になります。
<今日のポイント>
・かんたんな数字で考えてみる
・偏った思い込みを壊していく
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